「エンゲージメント」という言葉は近年、ビジネスや組織運営において非常に重要な要素として注目されています。この記事では、エンゲージメントとは何かについて詳しく解説していきます。
エンゲージメントとは
エンゲージメント(engagement)とは、「婚約」「契約」などの意味を持つ単語で、人事領域においては従業員と会社・組織が感情的に関わり、積極的に貢献しようとする状態、深いつながりを持った関係性を表す言葉です。エンゲージメントは、単なる満足度や忠誠心を超えて、個人の情熱やコミットメントを含む幅広い要素を含んでいます。
エンゲージメントと従業員満足度の違い
エンゲージメントと似たような概念として「従業員満足度」というものがあります。
従業員満足度は、従業員が仕事において基本的な要求が満たされているかどうかを評価する指標です。これは給与、労働条件、福利厚生などが従業員の期待を満たしているかを示します。従業員満足度は、仕事に対する不満を減少させることを目的しており、労働条件が整っていることに焦点を当てています。これに対してエンゲージメントは、単なる仕事に対する満足度を超え、従業員が企業に対して積極的に関わり、貢献しようとする深いつながりがあるかを反映しています。
エンゲージメントが注目される背景
エンゲージメントは近年、組織やビジネスの世界でますます注目されている重要な概念です。特に現代の労働環境やビジネス競争の激化がエンゲージメントに焦点を当てる要因となっており、具体的なものとして以下のようなものがあります。
1. 労働人口の減少
労働環境は急速に変化しています。特に日本では少子高齢化が急激に進んでおり、2060年には労働人口が約2,500万人減少すると言われています。採用活動では人材の売り手市場に拍車がかかり、新卒採用・中途採用問わず人材の確保が困難です。そのため、今いる従業員の生産性を向上させる動きや、定着率を高める施策を検討する企業が増えています。
2. 個人の価値観の変化
終身雇用や年功序列にとらわれない、自由な働き方が広まっています。特に若年層は、雇用スタイルや働くモチベーションに多様な価値観を持ち合わせています。出世して給料をたくさんもらうことよりも、働く意味や貢献実感を重視する人や、働き方が合わないと感じたらすぐに辞めてしまう人も珍しくありません。そのため、企業が従業員を繋ぎ止めるためには、ただ条件や給料を与えるだけでは不十分で、「この会社で働きたい」という理由(≒エンゲージメント)が重要になります。
3. 働き方の変化
近年、リモートワークの普及が進み、チャットツールやオンライン会議ツールでのコミュニケーションが一般的になってきました。そのため、従業員同士顔を見て仕事をする機会が少なくなり、企業と個人だけでなく、従業員同士の関係性も希薄になる可能性が指摘されています。エンゲージメントの向上によりつながりを維持することが求められています。
エンゲージメント向上が組織に与えるメリット
エンゲージメントが高いと感じる従業員が増えるほど、組織は持続的な成長を実現することができます。以下に、エンゲージメント向上が組織にもたらす主なメリットを紹介します。
1. 生産性の向上
エンゲージメントが向上することで、従業員は仕事に対する情熱を持ち、モチベーション高く業務に取り組みます。その結果、生産性や業務効率が向上します。生産性の向上は、事業成長に直結します。
2. 定着率の向上
エンゲージメントが高まると、従業員の満足度も向上すると言われています。従業員が仕事に満足し、イキイキと働くことで、組織の定着率向上が見込めます。
3. 顧客満足度の向上
エンゲージメントの向上は、顧客に対するサービス品質にも影響します。従業員の積極性や高い情熱が顧客への対応にあらわれることで、顧客のサービスに対する満足度の向上や口コミなどの評判の向上につながります。
エンゲージメントを高めるための方法
この項目では具体的にエンゲージメントを高めるための方法について詳しく説明します。
1. コミュニケーション強化
エンゲージメント向上の方法の一つとして、コミュニケーションの強化があります。組織内の従業員間のオープンかつ透明なコミュニケーションを確立することで、組織のビジョンや目標を共有し、フィードバックを積極的に受け入れる文化を醸成します。また、顧客やパートナーとも積極的なコミュニケーションを取り、サービスに対する評価や改善提案を組織運営に活かしていきましょう。
2. 報酬体系の最適化
報酬体系はエンゲージメントに大きな影響を与えます。従業員やパートナーに公平かつ魅力的な報酬を提供することで、彼らのモチベーションを高めます。報酬は単なる給与だけでなく、評価や昇進の機会、福利厚生なども含まれます。適切な報酬体系を構築し、評価と改善を行う必要があります。
3. スキル開発と研修
従業員がスキルを向上させる機会を提供することもエンゲージメント向上のために重要です。継続的なスキル開発と研修プログラムを導入し、彼らが成長し、新しい能力を身につけられるようサポートしましょう。スキル開発は個人の自己満足度を向上させ、エンゲージメントの向上につながります。
4. ワークライフバランスの促進
エンゲージメントを高めるためには、従業員のワークライフバランスを尊重することが必要です。長時間労働やストレスはエンゲージメントを低下させる要因となります。柔軟な労働時間やリモートワークのオプションを提供し、従業員が仕事と生活の調和を実現できるよう支援しましょう。
5. 社内文化の構築
組織内のポジティブな文化はエンゲージメント向上に大きく寄与します。リーダーシップ、価値観、協力精神を重視し、組織全体の文化を構築しましょう。
これらの方法を組み合わせ、エンゲージメントを高めるための継続的な取り組みを行うことで、組織やビジネスの成功に貢献できます。エンゲージメントの向上は、長期的な競争力を築くために重要な要素です。

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