近年増加傾向にある、仕事や日常生活における退屈やモチベーションの低下を指す言葉として「退屈症候群(ボアアウト)」が注目されています。この記事ではこの現象が増えている理由や主な症状・原因について詳しく解説します。
退屈症候群(ボアアウト)とは?
退屈症候群(ボアアウト)は、人々が仕事や日常生活において退屈だと感じたり、モチベーションが低下したりして、それに伴い心身の不調を抱える状態を指します。現代社会における問題の一つとされており、個人差があるものの多くの人に共通する症状としては無気力感、仕事への興味の喪失があります。
退屈症候群(ボアアウト)が増えている原因
ボアアウトが増加している背後には複数の要因が影響しています。
1. 労働環境の変化
現代の労働環境はテクノロジーの進歩や働き方の多様化により、急速に変化しています。労働時間がフレキシブルになったこと、リモートワークの普及が新たな課題を生み出し、ボアアウトを促進していると言われています。
2. 情報過多
デジタル時代において、情報過多がストレスや興味の喪失を引き起こすことがあります。過度に情報を摂取することで注意力が散漫になったり、選択肢が多すぎることでやる気を失うなど、こうしたこともボアアウトの要因となることがあります。
3. 組織文化
一部の組織では、過度な競争や効率重視の文化が、従業員にプレッシャーやストレスをかけ、ボアアウトを助長しています。働きすぎや仕事への過度なプレッシャーは、ボアアウトのリスクを高める要因となります。
4. 社会的要因
社会的な変化や孤独感、コミュニケーション不足もボアアウトの要因です。特に新型コロナウイルスのパンデミックが社会的な孤立を増加させ、ボアアウトを引き起こす可能性が高まりました。
ボアアウトの主な症状
ボアアウトになった社員は、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
1. 達成感の欠如
ボアアウトの一つの典型的な症状は、達成感や満足感の欠如です。業務や日常生活での成果や進歩に対する感覚が薄れ、何をやっても達成感を感じにくくなります。
2. 持続的な退屈感とモチベーションの低下
ボアアウトになることで、持続的な退屈感とモチベーションの低下が症状として現れます。仕事や日常の活動が単調で刺激に乏しいと感じ、モチベーションが低い状態が続きます。
3. ストレスと不安
ボアアウト症候群は、精神的なストレスや不安の増加とも関連しています。モチベーションの低下や達成感の欠如がストレスを引き起こし、不安感を増大させます。
4. 身体的症状
ボアアウトは、身体的な症状も引き起こすことがあります。頭痛、疲労、睡眠障害などが報告されており、身体的健康にも影響を及ぼすことがあります。
ボアアウトが組織に与える影響
ボアアウト症候群は、個人だけでなく組織にも重大な影響を及ぼす可能性があります。以下では、ボアアウトが組織に与える影響について説明します。
1. 生産性の低下
ボアアウト症候群の影響として、従業員の生産性の低下があります。モチベーションの低下や興味の喪失により、業務の質と効率が低下し、組織の業績に直接的な影響を与えます。
2. 従業員の離職リスク
従業員がボアアウトになることで、離職リスクが高まります。従業員は新たな挑戦や刺激を求めて組織を離れる可能性があり、組織にとって専門知識や経験を失うことにつながります。
3. 負の組織文化の形成
ボアアウトが組織内で蔓延すると、負の組織文化の形成につながることがあります。不満や不幸が広がり、従業員間の協力や信頼が減少することで、組織の魅力と競争力が低下します。
ボアアウトを解消するためには
ボアアウト症候群の解消に向けて、効果的な方法やアプローチが存在します。以下では、ボアアウトを解消し、克服するための具体的な手法に焦点を当てます。
1. 目標設定と意義づけ
まず、ボアアウトからの脱却に向けて、新たな目標の設定が必要になります。目標を持つことは、モチベーションを高め、当人の行動に意味を与えることができます。設定した目標に向かって進むことで、退屈感やモチベーションの低下から脱却することにつながります。
2. ワークライフバランスの確保
ボアアウトは、過度の仕事量や過剰なストレスから生じることがあります。ワークライフバランスを取ることは、ボアアウトの予防と解消に非常に効果的です。適切な休息とリラックスの時間を確保し、仕事とプライベートの調和を取ることが重要です。
3. 新たな興味を見つける
新しい趣味や興味を見つけたり、新たな活動に取り組むことで、心に刺激を与え、退屈感から抜け出すことができます。新しいスキルを習得できるように研修制度を整えたり、社内コミュニティの利用促進・福利厚生制度の活用など、従業員が新しく興味・関心を持てることを見つける支援をしましょう。
4. メンタルヘルスのケア
ボアアウト症候群は精神的な健康にも影響を及ぼすことがあります。社内相談窓口の設置やパルスサーベイでコンディションを把握すること、時には専門家のアドバイスやカウンセリングの機会を提供することで、ボアアウトからの回復を支援しましょう。
5. 仕事環境の改善
労働条件や組織文化の見直し、ストレス要因の把握と軽減など、従業員が働きやすい環境づくりに努めましょう。組織風土を悪化させる要因が特定できない場合は、従業員に直接ヒアリングを行なったり、アンケート・サーベイを活用することも手です。
まとめ
ボアアウトは個人だけでなく組織にとって重要な課題であり、その解消に向けた取り組みは従業員のエンゲージメント向上や仕事人生の充実をサポートします。従業員がイキイキと働くことで、組織全体の生産性向上や、風土の改善にも繋がります。従業員が健康で幸福な仕事人生を送れるよう、適切な対策を講じ、退屈症候群からの回復を目指しましょう。
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