キャリア採用者におけるオンボーディング施策の実態と影響

人事業界ではかなり馴染みのワードとなった「オンボーディング」。「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉で、「新たに採用した方が組織に慣れて戦力化するまでの受け入れ期間やそのプロセス」のことを指します。

このオンボーディング、新卒採用では充実している企業が多いのですが、キャリア採用においての取り組み実態はまだまだ十分とは言えないのが現状です。

あらためて、キャリア採用のオンボーディングの実態について、みていきます。

キャリア採用へのシフトチェンジ

まずは、採用市場全体が「キャリア採用」へシフトチェンジし始めているという実態から抑えておきたいと思います。以下の図はヒューマネージ社が出している「キャリア採用に関する調査結果」です。2024年度、新卒採用を増やすと答えた企業に対し、キャリア採用を増やす企業は2.5倍に増えます。

また、新卒採用・キャリア採用のパターン別の増減を調べたところ、「キャリア採用だけ増やす」(33.1%)が、「新卒採用・キャリア採用とも増やす」(18.4%)を大幅に上回ったということで、先行き不透明な中、また市場全体の飽和感が否めない中で、教育コストのかからないキャリア入社者、また、他社・別業界の知識やノウハウを得られて即変革を起こせるキャリア入社者といった意味合いで募集が増えているのが実態です。

最近、「キャリア入社者のオンボーディング」といったテーマでお問い合わせが増えている背景も、ここにあるのではないかと感じています。

キャリア採用者へのオンボーディングの実態

最初にお伝えした「オンボーディング」、所謂「入社者の受け入れ」はキャリア入社者にどれくらい適用されているのでしょうか。株式会社月間総務の「オンボーディングについての調査」結果によると、キャリア採用におけるオンボーディングの充実度については新卒に比べて充実していない状態であるということが伺えます。

新卒は47.1%、つまり半数ほどの企業が「充実している」としていますが、キャリア入社者向けで充実しているという回答は26.9%と20.2ポイントも減少します。

「受け入れのコストがかからないからキャリア入社者なんでしょ」といった声も聞こえてきそうですが、新卒にはたくさんの受け入れ施策が用意されているにも関わらず、キャリア入社者の方は現場任せといったことも多いのではないでしょうか。入社のタイミングがバラバラであるキャリア入社者は、確かに受け入れの難易度が高いと思います。

オンボーディング施策の有無が及ぼす影響

ただ、キャリア入社者におけるオンボーディング施策が「充実している」と答えた企業と「そうでない企業」では、定着率・パフォーマンス共に大きな差があるという結果も出ています。

この図を見ると、オンボーディング施策が充実していると答えた企業は定着率がとても高い・やや高いで約80%、パフォーマンスも90%以上。一方で充実していないと答えた企業は、定着率が前者の80%に対して57%、パフォーマンスも前者の90%に対して63.2%と大きく下がります。

つまりは、キャリア入社者を増やすだけではダメで、オンボーディング施策を充実させることによって、定着率・引いてはパフォーマンス・生産性を上げていこうという次のフェーズに関心が移ってきているのではないかということがいえるのではないでしょうか。

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