こんにちは。小山内です。人材活躍支援事業部でセールスを担当しています。今回から私が人事として得た知見やインタビューした内容などを記事にしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
退職慰留とは?
社員から出た退職意向に対し、自社に残ってほしいと思いとどまってもらう・考え直してもらうように働きかけることです。
ある日突然、社員から退職意向が伝えられると、上司としては寝耳に水な話です。驚きのあまり、本来こちらが伝えるべきことが伝えきれないまま、気づいたら退職してしまった・・・ということも少なくありません。退職慰留についての考え方はインターネット上に溢れているものの、「具体的にどうしたらいいのか?」という情報は案外少ないもの。
そこで、今回は退職慰留のステップと、「退職慰留を成功させてきたプロに聞く 本音の引き出し方」をご紹介します。
退職慰留のステップ
まず、退職慰留のステップは、大まかに3つのステップに分けられます。
退職慰留の3ステップ
1.退職希望の従業員に耳を傾け本音を探る
2.退職したい理由の解決策を話し合う
3.キャリアビジョンに沿った選択肢を提示する
この中でも、「1. 退職希望の従業員に耳を傾け本音を探る」は一番重要です。従業員の本音が聞けなければ、面談を有意義に進めることはできません。ではどうすれば、退職意向を持つ従業員から本音を引き出すことができるのでしょうか? 小山内は考えました。
「これまで多くのメンバーをマネジメントしてきた部長のHさん。通常の1on1でも思わず本音が引き出され、仕事に前向きになれるようなコミュニケーションを取ってくれる上司。立場上、退職意向に対峙する経験も多いはず。」
・・・ということで、本音を聞くための具体的なアクションについて思い切ってインタビュー。そのメソッドをまとめました。
退職慰留のプロに聞く 本音のヒアリング法4選
①面談実施方法:対面が鉄則+1回で終わらない
できるだけ本音を理解するために、面談は対面で実施。さらに、あえて1回の面談で終わらせないようにしています。面談を1回で終わらせようとすると、どうしても引き留め感が強くなってしまうからです。社員からすると「引き留められるのでは・・・」と警戒されてしまい、聞きたいことが聞けなかったり、伝えたいことが伝わらなかったりするので、初回の面談は完全にヒアリングに徹し、次回の面談を実施する同意を得ることをゴールにします。説得をするのは2回目以降、本当に社員自身が残る理由があるのか整理できてから、今の会社でどのような働き方が実現できるかを伝え、一緒考えるようにしています。解決すべきことがわかって初めて、うちの会社でまた頑張れそうか?と確認を行う順番です。
②スタンス:引き留めを強いない姿勢を伝える
面談冒頭で「引き留めるつもりはない」とあえて伝えています。例えば人事や直属の上司から何か言われていたとしても、本質はお互いがいい環境で仕事ができる状態を創ること。
「○○さんにとって今転職が必要なのか、それともうちの会社で環境を変えることの方が仕事人生にとって望ましいのか、思ったことを正直に伝えたいと思います」など、退職理由を根掘り葉掘り聞く時間ではなく、あくまで相談する時間を作っています。
③質問の前置きは、全て「興味」
「○○さんを理解したいので聞きたいのですが」と前提を置き、興味を持って質問をします。
これは持論ですが、興味が持たれていないからエンゲージメントが落ち、仕事が面白くないと感じさせてしまうもの。相手を理解して初めて、その人のことを好きになれますし、本当に当社で幸せになれるのか?を考えられます。
④自分の過去を含め、自己開示をする
どれだけ自分の経歴が汚らしいキャリアかを伝えています。
実は過去降格をしているとか、実際に力不足で辞めさせてしまった人の話とか、「自分がクソだ(原文ママ)」と伝えて、あなたが悩んでいることは真っ当だと思うということを伝えるようにしています。
まとめ
部長のHさんの話を聞き、改めて部下のキャリアを考えているからこそできる行動だなと思いました。特に、「引き留めるための面談であるが引き留めるつもりはない」というスタンス。あえて引き留めないなど、相手が想定していないアクションを取ることも(狙っていないにせよ)巧みです。
上記の部長のHさんの話は一例ではあるので、人によっては「しっかりと引き留めてくれる上司が良い」という意見もあるかもしれません。大切なのはひとり一人の特性を見極め、従業員にあったコミュニケーションをとるということに尽きるのではないでしょうか。
ただ、そもそも退職慰留の成功確率は、「10人中1人留められれば上出来」というレベルだそうです。いかに退職意向が出る前に先手を打てるか、日ごろからのコミュニケーションが大切ですね。
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