「モンスター社員」という言葉はご存じでしょうか。本来モンスターとは、危険で攻撃的、あるいは正体不明で不気味だと恐れられるような存在です。共に働く仲間にそんなフレーズを付けるのは望ましいことではありません。ではなぜ、モンスター社員が生まれてしまうのか。その特徴や、企業がとるべき対策について解説します。
モンスター社員とは
モンスター社員とは、企業内で問題行動を繰り返し、結果的に周囲に悪影響を及ぼしてしまう社員のことを指します。彼らの主な言動は以下が挙げられます。
- 任された業務に対し、能力が著しく不足している
- 暴言や暴力など、配慮に欠ける言動がある
- 周囲と適切な連携・情報共有をせず協調性がない
- 遅刻欠勤の多さ・過度な休憩をはじめ就業規則や業務命令に従わない
- 会社批判や業務の愚痴など同僚に悪影響を及ぼしかねない発言がみられる
- 社員の家族が業務や同僚との関係に介入をしてくる
モンスター社員がもたらす影響
彼らが企業に与える影響は非常に大きく、多岐にわたります。
職場の雰囲気・モチベーションの悪化
彼らのネガティブな態度や自己中心的な行動は、他の社員にも伝染し、職場全体の士気を低下させます。例えば、規律を守らない社員がいることで、真面目に働いている社員が不公平感を感じることがあります。このような状況が続くと、優秀な社員が離職する原因にもなりかねません。
生産性の低下
彼らの行動により、業務の進行が遅れたり、ミスが増えたりすることがあります。業務に対する意欲が低い社員がいることでプロジェクトの進行が遅れ、納期に間に合わなくなったり、コミュニケーション上の問題でチーム内での情報共有がうまくいかず、業務の効率が低下することがあります。
顧客対応の問題
例えば、態度があまりよくない社員が顧客対応を行うと、顧客の信頼を損ない、クレームに繋がるリスクがあります。これにより企業の評判が悪化し、売上に影響を及ぼす可能性があります。
法的リスクの増加
ハラスメントや差別行為が発生した場合、企業は法的責任を問われることがあります。時には、企業が賠償金を支払うリスクを伴うなど、経済的な損失にも繋がる可能性があります。
モンスター社員が生まれる原因
企業文化や職場環境、個人の性格や価値観の違いなど、さまざまな要因が絡み合って生まれるモンスター社員。主な原因を見ていきます。
採用時のミスマッチ
企業が求めるスキルや価値観と、求職者の実際の能力や性格が一致しない場合、入社後にミスマッチが起きます。適切な評価が行われないことでモンスター社員が生まれる原因となる可能性があります。
職場環境の問題
過度なストレスや長時間労働が続き、社員の精神的・肉体的な健康が損なわれることで、問題行動が発生しやすくなります。
企業文化の欠如
企業文化がしっかりと確立されていない場合、社員の行動に一貫性がなくなります。例えば、企業のビジョンやミッションが明確でない場合や、それらが社員に浸透していない場合は、社員が自分勝手な行動を取りやすくなります。
リーダーシップの欠如
上司が適切な指導やフィードバックを行わない場合、社員が自己中心的な行動を取りやすくなります。また、リーダーシップが欠如していると、チーム全体の協力が難しくなり、問題行動が増えることがあります。
個人の性格や価値観の違い
自己中心的な性格や協調性の欠如がある場合、他の社員とのトラブルが発生しやすくなります。また、価値観の違いが原因で、職場でのコミュニケーションがうまくいかないこともあります。
不適切な評価制度
努力や成果が正当に評価されない場合、社員が不満を抱き、問題行動を起こすことがあります。また、評価制度が不透明である場合も、社員の不満が増え、モンスター社員が生まれる原因となります。
教育・研修の不足
新入社員に対する研修が不十分である場合、業務に対する理解が不足し、問題行動が発生しやすくなります。また、継続的な教育や研修が行われていない場合も、社員の成長が停滞し、モンスター社員が生まれる原因となります。
コミュニケーションの不足
上司と部下の間でのコミュニケーションが不足している場合、指示やフィードバックが適切に伝わらず、問題行動が発生しやすくなります。また、同僚同士のコミュニケーションが不足している場合も、チーム内での協力が難しくなります。
企業ができる対策
本来社員は、同じ志を持ち事業活動を行う仲間のはず。では、「モンスター社員になる可能性の高い人材を採用しない」、または「社員をモンスターに変えない」ために、企業ができることは何でしょうか。具体的な対策について解説します。
採用プロセスの見直し
適切な採用基準を設け、求職者のスキルや価値観が企業の文化に合致しているかを確認しましょう。具体的には、面接時に過去の行動や経験を詳しくヒアリングすることで、求職者の性格や価値観を深く理解することができます。また、複数の面接官による評価を行い、客観的な判断を下すことも効果的です。
企業文化の確立と浸透
企業のビジョンやミッションを明確にし、それを社員全員に共有することで、一貫した行動を促すことができます。定期的な社内イベントや研修を通じて、企業文化を強化し、社員同士の信頼関係を築きましょう。
リーダーシップの強化
上司は、部下に対して適切な指導やフィードバックを行うことに加え、問題行動の早期発見と対処が求められます。リーダーシップ研修を実施するなどし、上司のスキル向上と部下とのコミュニケーションを促進しましょう。
評価制度の見直し
努力や成果が正当に評価される仕組みを整え、透明性のある評価を行うことが必要です。定期的なフィードバックを行い、社員の成長をサポートすることで、問題行動を未然に防ぐことができます。
教育・研修の充実
新入社員に対する研修だけでなく、継続的な教育プログラムを実施し、社員の成長をサポートすることが重要です。また、問題行動が見られる社員に対しては、個別の指導やカウンセリングを行うことも効果的です。
コミュニケーションの促進
定期的なミーティングやワークショップを開催し、社員同士が意見を交換する機会を増やしましょう。また、上司と部下の間でのコミュニケーションを促進するための仕組みを整えることも重要です。
ストレス管理の強化
過度な業務負担や長時間労働を避けるための仕組みを整え、社員が適切に休息を取れる環境を整えることが必要です。また、ストレス管理のためのサポートプログラムを導入し、社員が気軽に相談できる環境を整えることも重要です。
問題行動の早期発見と対処
定期的な評価やフィードバックを行い、問題行動が見られる社員に対しては、早期に指導やカウンセリングを行うことが必要です。また、問題行動が改善されない場合は、適切な処分を行うことも検討する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。以上の対策を講じることで、企業はモンスター社員の発生を防ぎ、健全な職場環境を維持することができます。
エン・ジャパンでは、採用のミスマッチ防止や入社後のコンディション把握ができるツールに加えて、リーダーシップ研修や階層別のカスタマイズ研修など様々な支援を行なっております。
もし社内で抱えていらっしゃる課題や気になるテーマがございましたら、ぜひ一度WEBセミナーにご参加くださいませ。