海外最新 2023HRトレンド7選

海外最新 2023HRトレンド7選

インフレの急増や経済の減速など、急激な変化の波が押し寄せるなか、2023年は人事部に大きな変革が迫られます。言い換えれば、「人事部がどう変化するかで、組織に与える影響が大きく変わってくる」ということです。

この記事では様々なトレンド予測や顧客の声から、2023年を形成すると予想される7つのHRトレンドをご紹介します。皆様のお役に立ちましたら幸いです。

目次

1. トータルウェルビーイング

まずは人事の「精神的・身体的・経済的」なウェルビーイングへアプローチ

アメリカ心理学会(APA)によると、パンデミック後、従業員の5人に3人が仕事上のストレスによる悪影響を報告しています。アメリカ人の87%がインフレに不安を感じ、10人に7人の従業員が購買力の変化に自分の報酬が追いついていないことを心配しています。

そのなかでも人事部は、パンデミックの際にあらゆる変化に対応し、主導的な役割を果たしました。Workvivoの調査によると、人事担当者の98%が「過去6ヶ月の間に燃え尽きたと感じている」と報告しています。

2023年のHRトレンド一つ目は、従業員ウェルビーイングへのアプローチです。

その第一歩は、まず人事部のメンバーが自身のウェルビーイングについて考え、対処することです。常に社内の従業員を助ける立場にある人事からすれば、まず自分を助けるというのは人事の本質に反するかもしれません。しかし、人事が心身ともに良好な状態になければ、他の部署を助けることはできません。

人事のウェルビーイングを精神的、身体的、経済的に考える。そして次に、企業全体のウェルビーイングに対して積極的にアプローチしていきましょう。

参照元:11 HR Trends for 2023: Seizing the Window of Opportunity

2. ハイブリッドワークの再定義

リモートワークとオフィスワークの妥協点を見つける

Withコロナでもたらされた大きな変化の1つであり、今後も続く可能性が高いのはハイブリッドワークへの移行です。今や勤務先の条件に「リモート勤務」を掲げる求職者は少なくありません。

ある程度柔軟な働き方を提供できなければ、企業が競争上不利になることを物語っています。しかし95%の経営者は、企業文化を維持するために従業員がオフィスにいる必要があると考えています。

そこで人事担当者は、いつ・どこで・どのように仕事をするかについて、両者の妥協点を見つける必要があります。このテーマについて社内で対話を促しましょう。場合によってはオフィスにいることが多い人が評価されることを避けるため、管理職に対して教育を行ったり、客観的な業績評価を行なえるように評価制度の見直しなどの必要性が出てくるかもしれません。

その上で、オフィスの役割を再定義することも有効です。より良いデザインのワークスペース、自宅での孤独感を和らげるコミュニケーションツールの導入、自宅の設備をアップグレードするための手当などです。

フルリモート、週に2日の出社日を設けるなど、従業員に選択させるかどうかに関わらず、最適な働き方を見直していきましょう。

参照元:11 HR Trends for 2023: Seizing the Window of Opportunity
    Latest HR Trends in 2023: Every HR Must Know

3. DEI&B(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンとビロンギング)

DEI&Bへの取り組みが企業ブランディング、エンゲージメント向上に

DEI&Bとは、多様性、包括性、公平性に帰属性(ありのままの自分を偽らず、組織に居場所があると感じられる状態)を加えた4つをあらわす言葉です。

現在、ダイバーシティへの取り組みは、主に採用での取り組みに焦点が当てられています。しかし今後は、入社後のオンボーディングや育成、昇進などあらゆる場面でこれらの重要性が説かれます。それはマイクロソフトやPwCなどがDEI&Bの年次報告書を発行していることから見ても明らかです。

企業のDEI&Bに関する取り組みを公開することは投資家への影響に加えて、多様な人材を獲得することにつながります。また、従業員が自己開示できる安全な環境を作ることは、リテンションやエンゲージメント向上にも繋がる可能性があります

  2023年に人事に期待される取り組み例
   ・人事担当者を対象にしたダイバーシティの理解を深めるトレーニング
   ・女性管理職の比率を高めるための長期的な多様性プログラムの実施
   ・役員報酬をDEI指標に連動させる                など

参照元:Latest HR Trends in 2023: Every HR Must Know

4. リーダーや管理職のスキルアップ

55%のCEOが次世代リーダーの育成に課題。従業員の生の声を活かしたアプローチを

大退職時代と言われる昨今、多くの企業ではハイパフォーマーを引き留めようと管理職に昇進させる事例が増えています。同時に人材不足を理由に、経験の浅い候補者を管理職に登用しようと挑戦する例もあります。

そのため、リーダーは管理職経験がほとんどない新人候補者で埋め尽くされており、55%のCEOは次世代リーダーの育成を最重要課題と答えています

質の高い人材育成によってエンゲージメントと定着率は高まり、「働きやすい職場」に選ばれる可能性が2倍高くなります。

従業員はリーダーを信頼できる情報源として見ています。そのため、マネジメントは単にチームの状態を把握し、生産性を維持するだけのものから、人間関係を重視したアプローチに移行する必要があります。特に部下から信頼を得るための傾聴スキルや、お互いのミッション成功のために要求しあう、頻繁にほめるなど、リーダーに求められるスキルを言語化し、育成プログラムを検討しましょう。

参照元:11 HR Trends for 2023: Seizing the Window of Opportunity
    HR trends 2023: Melding humanity and hybrid work to retain top talent

5. ピープルアナリティクス/従業員データの可視化

透明性と公正さをもった意思決定と、HRテックの活用

2023年までに多くの企業の人事部門が、人材管理をシステムで行うと予想されています。

採用や離職、人材プールの拡大、従業員エンゲージメントの可視化など、従業員データの可視化と分析が進み、様々な人事活動にAIや機械学習が使われると言われています。 

しかし、こうした従業員データの活用にあたっては新たな問題を生み出す可能性も指摘されています。従業員の個人情報をどこまで取得し、それを何に活かすか。プライバシーな情報の境界線に踏み込まないように、企業は従業員データの収集、使用、保存方法において透明性を重視し、従業員が好ましくないと思う行為はしないように気を付ける必要があります。

ピープルアナリティクスは、人間にはできないような複雑なデータ解析ができ、人事の相談役になる可能性を秘めています。人事部と管理職が透明性と公正さをもった意思決定ができるよう注意しながら、HRテックを活用していきましょう

参照元:9 Future of Work Trends For 2023

6. リテンション

人材獲得競争が激化するなかで、リテンションが重要課題に

あらためて、2023年のトレンドの1つは従業員のリテンションに焦点を当てることです。パンデミックの落ち着きとともに、企業は優秀な人材が競合他社へ転職することを心配するようになるでしょう。

労働力が不足している日本においては、常に新しい従業員を採用し、育成するより、既存の従業員を維持するために投資する方が費用対効果が高いことをますます認識するようになります。

そのため、従業員の育成やエンゲージメントを高める取り組みへの投資が増えることが予測されます。働きやすい職場環境づくりや、競争力のある福利厚生にも力を入れる必要があるでしょう。

また、今いる人材を有効に活用する動きにも注目が集まる可能性があります。例えば既存の従業員を異動させることで生産性を上げることや、従業員の能力を高めることで少ない人員でも生産性を担保させることなどです。 

こうした取り組みは既存の従業員の能力を伸ばし、スキルアップの機会を提供することにも繋がります。

参照元:9 Future of Work Trends For 2023
    10 HR Trends for 2023

7. エンゲージメント

従業員が何を考えているかは、従業員に直接尋ねる

エンゲージメントは何十年も前から主要な話題になっています。

従業員エンゲージメントが高いことは、企業にとって様々なメリットがあります。エンゲージメントが高い組織では、低い組織に比べて仕事への満足度や顧客志向、定着率が高いことが分かっています。

従業員のエンゲージメントを高めるために必要なことは、「従業員が何を考えているか従業員に直接尋ねること」です。今は人事部が簡単に実行できるエンゲージメントサーベイがたくさんあります。

継続的にサーベイを実施し、長期にわたって比較可能なデータを収集すること。そしてそれらを従業員データと紐づけることで、戦略的な人事の意思決定に活用できます。

参照元:9 trends that will impact HR and business in 2023

さいごに

ここまで、海外の最新HRトレンド7選をご紹介しました。2023年は人事部にとって大きなチャンスとなる一方で、乗り越えなくてはならない壁も多くあるかと存じます。人事部みなさまのウェルビーイングを考えつつ、自社における課題の可視化、優先順位づけを行ない、変化の一年を乗り越える。本記事が、そんなみなさまのお役に立ちましたら幸いです。

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