居酒屋・焼肉をはじめ、国内外で外食・宅食・農業・環境エネルギーと様々な事業を展開するワタミグループ。新入社員の受け入れと教育を担当する人材開発本部の高城さんに入社者のオンボーディング、社員のリテンションに関する取り組みについて伺いました。
導入したきっかけを教えてください。
まず、はじめに少し当社のことについて話をさせてください。
当社には大事にしている考えに、人生に大切な6本の柱「仕事」「家庭」「教養」「財産」「趣味」「健康」というものがあります。
会長の渡邉が創業時、社員にとっての幸せは何か?と思考に思考を重ね「誰にでも等しく当てはまる幸せ」はこの6本の柱に集約される。6つのバランスをうまく取ることができると、豊かな人生が送れるのではないか…とまとめた考え方です。この6本の柱をもとに、店長は月に一度部下のカウンセリングを行っています。これは創業時からずっと続けているものです。
また、2016年頃からは入社者にはメンター制度も設けています。離職に対する課題はもちろんありますが、それ以上に、経営理念に「社員の幸せ」を掲げておりその実現をするためにも必要な取り組みだと感じているからです。
フォローの「抜け」「漏れ」をなくす
一方で、この取り組みだけでは「抜け」や「漏れ」があったことも事実です。
- 属人的になってしまうこと
- 本音を言いにくい場合があること
店長によっては、カウンセリングが得意な人もいればそうでない人もいたり、部下との関係性に左右されたりする。部下としても、悩んでいる内容によっては本音を言いづらいこともある。またメンター制度も、担当するメンティーと業務で直接の関わりがない場合は信頼関係を構築するまでに時間がかかり、面談をしても状況がつかめない。このようなことが起こっていました。
そんな時に、採用でも支援をしてもらっていたエン・ジャパンから HR OnBoard・HR OnBoard NEXT の提案を受けました。
導入の決め手はなんですか?
選択と集中
抜け漏れをなくし、フォロー対象の「選択」と「集中」が可能になるのではないかと感じられたことが大きな決め手になりました。
先ほども申し上げましたが、「属人性によるフォローの抜け漏れをなくしたい」「従業員の本音を把握したい」という2点。そして、当社は対象になる方が多い一方で、フォローできる人員は限られています。全員に対して同じように対応することが現実的ではない。
その点、HR OnBoard・HR OnBoard NEXTは社員が毎月数問の質問に回答するだけで、コンディションが3段階で判定されます。その時々でコンディションが良くない社員が誰かわかるので、優先度の高い社員から効率的にフォローをすることができる。
そう感じて導入を決めました。
実際に導入してみていかがでしたか?
効果大だと思います!直近1年の成果でいうと、約50人入社で退職したのは数人。その方たちも、事情があってHR OnBoardのアンケート配信前に退職が決まっていたりと、実質退職者はゼロと言っても過言ではないと思います。
また、退職を未然に防げた例もあります。HR OnBoardのアンケートから本人の悩みが分かったことで対応ができました。
しっかり選択と集中ができるというのが成果に繋がっていると感じています。
このようにいかに本人たちのSOSにスピード感を持って対処するか。リアクションがあったらすぐに対応することで、ここで頑張ろう、と未来を見せることができていると思います。
フォローをする上で心がけていることは何ですか?
「スピード対応」と「権限がある人にパス」の大きく2つです。
回答をもらったら、出来るだけすぐに反応しています。「ちゃんと見ていますよ」ということを分かってもらう。
また、聞くだけでは解決しないこともあります。その場合は、次のアクションを起こせる人間。つまり権限のある責任者にパスを出します。
本音がちゃんと出てきているのは、この2つの取り組みがうまく循環しているからと感じています。声をあげても反応がない、何も変わらないと不信に繋がるので。そこは気を付けています。
これから取り組んでいきたいことはありますか?
もっともっと社員を大切にしていきたいです。HR OnBoard・HR OnBoard NEXTの良さは、「目に見えないところにしっかりアプローチできる」ことです。これまで見えなかった課題が分かってきました。選択と集中できることで、その分の空いた時間を使って、どうすればより働きやすくなるか考えたいです。
最近では、副社長が全国をまわって社員一人ひとりと5年後の夢や目標について話すキャリアヒアリングを実施しています。ワタミで働く社員の幸せのために、今後も様々な取り組みをしていきたいです。
創業から今まで、事業が苦しいことは何度もあったそうです。「ただ、会社がどんな状況であっても、一番大切にするべきは仲間、そこだけは変わらない」と熱く語られる高城さん。誰一人抜けもれなくフォローをする、そのため社員の本音を把握する。さらなる取り組みにも期待です!