若手社員が管理職になりたがらない理由とは?企業が知っておきたい背景と対策を解説 

「最近の若手は昇進を望まない」 「管理職になりたい人が減っている」 

こうした声を耳にする機会が増えています。 

実際、多くの企業で次世代リーダーの育成や管理職候補の確保が課題となっています。そのため、管理職不足を「若手社員の意欲低下」の問題として捉える企業も少なくありません。しかし、本当にそうなのでしょうか。 

本記事では、若手社員が管理職になりたがらないと言われる背景を整理するとともに、企業が取り組むべき対策について解説します。 

若手社員が管理職になりたがらないと言われる背景 

管理職を希望する人は減少傾向にある 

近年、多くの企業で若手社員の昇進意欲の低下が話題になっています。

かつては昇進や昇格がキャリア形成の重要な目標と考えられていました。しかし現在は、働き方や人生設計に対する価値観が多様化し、「管理職になることだけが成功ではない」という考え方が広がっています。 

特に若い世代は、収入や役職だけでなく、自分らしい働き方や専門性の向上、プライベートとの両立なども重視する傾向があります。その結果、以前に比べて管理職を積極的に目指す人が減少していると指摘されています。 

もちろん、管理職を目指す若手がいなくなったわけではありません。しかし「昇進できるならしたい」という考え方から、「本当に自分にとって価値があるなら目指したい」という考え方へと変化している点は見逃せないでしょう。

管理職候補不足は企業の課題になっている 

管理職を希望する人が減ることは、企業にとって大きな課題です。

組織を成長させるためには、現場をまとめるマネジャーやリーダーの存在が欠かせません。しかし、いざ管理職に登用しようとしても、候補者が少なかったり、打診しても辞退されたりするケースが増えています。 

特に少子高齢化による労働人口の減少や、人材流動化の進展によって、多くの企業が人材確保に苦戦しています。そのなかで管理職候補まで不足すれば、組織運営そのものに影響が及びます。 

人事担当者にとっては、「将来の管理職をどう育成するか」がこれまで以上に重要なテーマになっているのです。 

こうした状況から、「若手社員が管理職になりたがらない理由」を知りたいと考える企業や人事担当者が増えています。

若手社員が管理職になりたがらない理由 

責任やプレッシャーが大きいと感じるから 

管理職になると、自分自身の成果だけでなく、チーム全体の成果に責任を持つ立場になります。部下の育成や評価、目標管理、トラブル対応など、求められる役割は多岐にわたります。業績不振やメンバーの離職といった課題に直面した場合も、管理職がその対応を担うことになります。 

こうした責任の重さに対して、「自分には荷が重い」「精神的な負担が大きそう」と感じる若手は少なくありません。 

特に近年はコンプライアンスやハラスメントへの対応など、管理職に求められる役割が増えていることも、心理的なハードルを高める要因となっています。 

業務量に対して報酬が見合わないと感じるから 

管理職を敬遠する理由としてよく挙げられるのが、負担と処遇のバランスです。

管理職になると仕事の範囲が広がり、会議や調整業務も増えます。一方で、企業によっては昇進後の給与上昇幅が大きくないケースもあります。 

若手社員は、上司の働き方を日常的に見ています。「忙しそうなのに報われていない」 「責任ばかり増えて大変そう」という印象を持てば、管理職に魅力を感じにくくなるのは自然なことです。 

本人に昇進意欲がないというより、コストとリターンのバランスを冷静に見極めている結果ともいえるでしょう。 

ワークライフバランスを重視する人が増えているから 

働き方に対する価値観の変化も大きな要因です。 

以前は長時間働くことや役職を上げることが評価される傾向がありました。しかし現在は、仕事だけでなく家庭や趣味、自己成長の時間も大切にしたいと考える人が増えています。そのような価値観を持つ人にとって、「管理職=忙しい」というイメージは魅力的に映りません。実際に管理職は会議や部下対応などの業務が増えやすく、自分の裁量でスケジュールを調整しにくい場面もあります。

将来のキャリアを考える際に、ワークライフバランスを優先する選択肢が増えていることも、管理職志向の低下につながっています。 

専門性を高めたいというキャリア志向があるから 

近年は、専門職としてキャリアを築きたいと考える人も増えています。エンジニアやデザイナー、マーケターなど、多くの職種で専門スキルそのものが市場価値につながるようになりました。そのため、「人を管理する仕事より、自分の専門分野を深めたい」と考える人も少なくありません。 

企業によっては管理職になることで、現場業務から離れ、マネジメント中心の仕事になることがあります。その場合、昇進が必ずしも本人の理想のキャリアと一致しないこともあるのです。

現代では管理職志向の低下というより、キャリアの選択肢が増えた結果と捉えるほうが実態に近いかもしれません。 

管理職の働き方に魅力を感じられないから 

若手社員は日々、管理職の働き方を見ています。 

  • 朝から会議が続く
  • 現場と経営層の間で調整に追われる
  • 部下の相談やトラブル対応に時間を取られる
  • 遅くまで残業している

こうした姿ばかりが目に入れば、「自分も将来そうなりたい」と思うのは難しいでしょう。 

管理職になりたくないというより、「今見えている管理職像」に魅力を感じられないケースも少なくありません。この視点は、企業が管理職不足の問題を考えるうえで非常に重要です。 

管理職になりたがらない若手社員が増えると企業にどんな影響がある? 

次世代リーダー不足につながる 

管理職候補が減少すると、将来的なリーダー不足につながります。 

組織を率いる人材は一朝一夕には育ちません。将来の部門長や経営幹部を育成するには、管理職としての経験を積む機会が必要です。そのため、管理職候補の不足は、数年後の組織運営や事業成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。 

管理職の負担がさらに増える 

新たな管理職が育たないと、現在の管理職に業務が集中します。 

一人の管理職が担当する部下の人数が増えたり、複数の役割を兼務したりするケースもあるでしょう。すると管理職の負担が増え、疲弊や離職のリスクが高まります。そしてその姿を見た若手がさらに管理職を敬遠するという悪循環に陥ることもあります。 

人材育成や組織運営に影響する 

管理職にはチームを運営するだけでなく、人材育成の役割もあります。 

十分なマネジメント体制が整わなければ、部下の成長支援や適切な評価が難しくなります。また、メンバー同士の連携や組織目標の浸透にも影響が出る可能性があります。 

管理職不足は単なるポストの問題ではなく、組織力そのものに関わる課題なのです。 

若手社員は本当に管理職になりたくないのか 

「管理職そのもの」ではなく「今の管理職」になりたくないケースもある 

ここで改めて考えたいのが、本当に若手社員は管理職になりたくないのかという点です。 

実際には、「管理職という役割」を否定しているのではなく、「現在見えている管理職像」に魅力を感じられないケースも少なくありません。もし管理職が常に忙しく、評価されにくく、精神的に疲弊している姿ばかりが見えているなら、若手が目指したいと思えなくても不思議ではありません。つまり課題は若手社員の意欲不足ではなく、管理職のあり方や見え方にある可能性があります。 

管理職不足の原因を若手社員側だけに求めるのではなく、「管理職は魅力的な役割として映っているか」という視点で見直すことも必要です。 

管理職になってから前向きになる人も少なくない 

実は、昇進前と昇進後では管理職に対する評価が変化するケースもあります。 

リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、昇進前は管理職になりたくないと考えていた人の半数以上が、管理職経験後には前向きな認識へ変化したという結果が示されています。 

管理職になる前は、責任の重さや負担ばかりに目が向きがちです。しかし実際には、 

  • メンバーの成長を支援するやりがい 
  • 組織に与える影響力の大きさ 
  • 意思決定に関われる面白さ 
  • 自身の成長実感 

などを感じる人も少なくありません。 

つまり、管理職の魅力が十分に伝わっていない可能性もあるのです。 

参考:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「管理職意向の変化に関する実態調査」 

人事が取り組みたい5つの対策 

管理職の負担を軽減する 

まず重要なのは、管理職が疲弊しない環境をつくることです。業務の属人化を防ぎ、会議の削減や業務効率化を進めることで、管理職が本来のマネジメント業務に集中できる環境を整える必要があります。 

管理職の魅力ややりがいを伝える 

若手社員には負担だけでなく、管理職のやりがいも伝えることが大切です。実際の管理職が経験した成長や成功体験を共有することで、ネガティブなイメージの払拭につながります。 

昇進前にマネジメント経験を積ませる 

管理職経験がない人にとって、マネジメントは未知の領域です。プロジェクトリーダーやOJT・後輩指導など、小さなマネジメント経験を積む機会を設けることで、将来の管理職への不安を軽減できます。 

ロールモデルを増やす 

若手が「こんな管理職になりたい」と思える存在を増やすことも重要です。多様な働き方を実現している管理職や、高い専門性を活かしながらマネジメントしている管理職など、さまざまな成功例を可視化することが求められます。 

評価制度や報酬制度を見直す 

責任や負担に対して処遇が適切でなければ、管理職への魅力は高まりません。評価基準の透明化や報酬制度の見直しを行い、管理職としての貢献が正当に評価される仕組みを整備することが重要です。 

まとめ:管理職になりたいと思える組織づくりが重要 

若手社員の意欲だけの問題ではない 

若手社員が管理職を希望しない理由を見ていくと、単純な昇進意欲の低下だけでは説明できないことが分かります。責任や負担への不安、専門性を重視するキャリア観、働き方に対する価値観の変化など、複数の要因が重なっています。だからこそ、「最近の若手社員は管理職になりたがらない」と結論づけてしまうのは適切ではありません。 

管理職の魅力を高めることが企業の課題 

今後、企業が取り組むべきなのは若手社員の意識改革だけではありません。むしろ重要なのは、管理職という役割そのものを魅力的なものにすることです。若手が日々目にする管理職が生き生きと働き、やりがいを持って活躍している組織であれば、管理職を目指す人は自然と増えていくはずです。 

管理職になりたがる若手社員を増やすことが目的ではありません。「自分もこの役割に挑戦してみたい」と思える管理職像をつくることこそ、人事と企業に求められる本質的な課題といえるでしょう。 

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