総務省が発表した労働力調査(詳細集計)の2023年平均結果によると、転職等希望者数は1007万人と7年連続増加。「期待していた若手社員が辞めてしまった…」「優秀な人材が突然離職してしまった」等、人材の離職に悩む声は増え続けています。 そこで今回は、「離職要因」や「離職防止のポイント」を解説します。
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離職で生まれる損失
まず、従業員が離職すると企業にどのような損失をもたらすのでしょうか。人材の流出による損失は、大きく以下の3つです。
1.活躍人材の喪失
人材が流出してしまうと、人事計画や組織構成にひずみが出ます。仮に将来の幹部候補とされる活躍人材が退職してしまった場合は、中長期的に大きなダメージになります。
2.財務的な損失
社員が一人退職をすると、その方の年収の93~200%の損失が出ると言われています。仮に年収500万円の人材が離職してしまった場合の損失額は、465~1000万円とかなり高額です。活躍している人材であればあるほど、この損失は大きくなります。
3.他社員のモチベーション低下
1人でも退職者が出ると、業務の引継ぎなどで残った従業員の業務負担は増加し、パフォーマンスは下がります。また、人材が定着しない会社となれば、他の社員は「うちの会社、ずっといても大丈夫だろうか」「長く働く会社じゃないな」などと勘繰り、連鎖退職を引き起こしてしまう可能性があります。
早期離職による損失より、入社2年目以降の既存社員が離職することによる損失のほうが大きいと言われています。
離職の要因 -動機づけ要因と衛生要因-
エン・ジャパンでは離職の要因を「動機づけ要因」と「衛生要因」に分類・整理しています。
動機づけ要因
動機づけ要因は【人間関係】【承認・賞賛】【達成】【成長】【責任】【貢献】の6つです。「職場の人間関係は良好か」「自己効力感が持てているか」「貢献実感が持てているか」など、満たされることで仕事のやる気を増大させる促進要因になります。
衛生要因
給与、賞与、休日休暇や福利厚生、職場の物理的環境などです。「給料、休みが少ない」「働く環境に不満がある」などの衛生要因は、従業員が辞める理由としてよく挙げられます。しかし、これらは「不満の防止をする歯止め役」にはなっても、従業員のやる気を引き出す「動機」にはなりえません。
衛生要因は最低限満たす必要がありますが、それ以上に従業員が何に「動機づけ」されているかを知り、満たされていないようであれば改善していくことが重要です。
離職防止のためにおさえておきたいポイント
離職を防止する上でおさえておきたいポイントは以下です。
人事が退職意向をキャッチすることは難しい
まず大前提、人事が社員の退職意向に気付くことはとても難しいです。退職理由は退職を決意した時などに知らされますが、最初に相談するのは圧倒的に「上司」という回答が多いです。そのため、人事に話が来るころには退職することはすでに確定事項となっており、あらためて退職理由を確認したり、聞き出すことが難しいということもあります。
退職遺留の成功確率は低い
また、仮に退職意向をキャッチできたとしても、退職を引き留められる確率は低いと言われています。
上記は当社がとったアンケート結果です。もし「辞めます」と10人の従業員が言いにきたとしたら、「1人、もしくは1人も止められない」と回答している企業は43%。半分近くの企業がほとんど止められないと言っています。
人事が退職意向に気づくことは難しく、もし仮にキャッチできたとしても引き留められる確率は低い。そのため、「退職意向が出る前に、きっかけを察知する仕組みを作る」ことが必要です。
既存社員のコンディション把握・離職理由分析に「HR OnBoard NEXT」
エン・ジャパンでは、社員一人ひとりの離職リスクやモチベーションの阻害要因を可視化するパルスサーベイ『HR OnBoard NEXT』を提供しています。毎月のアンケート結果や組織別エンゲージメント診断の結果から従業員のコンディションやエンゲージメントを可視化。フォローアドバイスとともに、企業のリテンション・マネジメントを支援します。
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