女性管理職の登用が進む一方で、「女性上司と女性部下の関係」に悩む職場も少なくありません。
その背景として語られることがあるのが「女王蜂症候群(クイーンビー症候群)」という概念です。男性中心の組織でキャリアを築いた女性が、他の女性に厳しく接してしまう現象を指します。
本記事では、女王蜂上司と呼ばれる行動の特徴や背景、企業が取るべき対策について解説します。
この記事の要約
・女王蜂症候群とは
男性中心の組織で成功した女性が、自身の立場を守るために他の女性の活躍を歓迎しない、あるいは厳しく接する傾向を指す言葉です。
・主な原因
組織内での競争激化や、心理的安全性の欠如、多様性への理解不足が背景にあります。
・解決策
1on1ミーティングの導入や管理職へのダイバーシティ研修、タレント分析による適材配置で組織環境を改善することが重要です。
女性部下の成長を阻む組織課題
女性活躍推進やダイバーシティの取り組みが広がるなか、企業では女性管理職の登用が進んでいます。しかし一方で、人事担当者から次のような相談が寄せられることがあります。
- ある特定の女性管理職の部署だけ、女性社員の離職率が高い
- 女性部下が上司との関係に悩み、メンタル不調を訴える
- 女性同士の関係性が悪く、チームの雰囲気が悪化している
こうした背景にある可能性が指摘されるのが、「女王蜂上司」の存在です。
女王蜂上司とは
「女王蜂症候群(Queen Bee Syndrome)」とは、男性中心の組織で成功した女性が、自身の立場を守るために他の女性の活躍を歓迎しない、あるいは厳しく接する傾向を指す言葉です。1970年代にアメリカの研究者※によって提唱された概念で、現在でも組織心理学の分野で議論されています。
※1973年、米ミシガン大学の研究者による「The queen bee syndrome」( Psychology Today, 1974)という論文で紹介
女王蜂上司に見られる行動には、次のようなものがあります。
- 女性部下に対して必要以上に厳しい評価をする
- 女性部下の成果を認めない、あるいは評価を低くする
- 部下の相談に乗らない、距離を置く
- 「自分の時代はもっと苦労した」と過去の経験を強調する
もちろん、すべての女性管理職に当てはまるものではありません。しかし、このような行動が続くと、部下の心理的安全性が低下し、組織全体のパフォーマンスにも影響が及ぶ可能性があります。
なぜ女王蜂上司は生まれるのか
女王蜂上司の問題は、個人の性格だけで説明できるものではありません。多くの場合、組織構造や職場環境が影響しています。
例えば、女性管理職の数が少ない組織では、女性同士が「限られたポジション」を巡って競争関係になりやすくなります。その結果、「自分の地位を守らなければならない」という心理が働き、無意識のうちに他の女性をライバル視してしまうことがあります。
また、これまで厳しい環境のなかでキャリアを築いてきた女性管理職ほど、「自分が乗り越えてきた苦労を、次の世代も経験すべきだ」という価値観を持つことがあります。こうした世代間の認識の違いも、部下との関係性に影響を与える要因の一つです。
つまり、女王蜂上司の問題は、単なる人間関係のトラブルではなく、組織の構造や文化が生み出している側面があるのです。
組織に与える影響
女王蜂上司の存在は、企業にとっても無視できないリスクとなります。
まず、女性社員のエンゲージメントが低下する可能性があります。上司との関係性に不安を感じる環境では、部下は安心して意見を言うことができず、能力を十分に発揮できません。
さらに、女性社員の離職につながるケースもあります。せっかく採用した人材が早期に退職してしまえば、採用コストや育成コストの損失にもなります。
また、企業が女性活躍推進を掲げていても、現場のマネジメントが機能していなければ、取り組みそのものの信頼性が揺らぐ可能性があります。
人事が取り組むべきポイント
こうした問題に対して、人事部門ができる取り組みはいくつかあります。
実態の把握
まず重要なのは、職場の実態を把握することです。パルス/エンゲージメントサーベイや1on1ミーティングなどを通じて、部下と上司の関係性や職場環境を定期的に確認する仕組みを整えることが求められます。
管理職教育
また、管理職向けのマネジメント教育も有効です。特にダイバーシティマネジメントや心理的安全性に関する研修を通じて、多様なメンバーを活かすマネジメントのあり方を共有することが重要です。
女性管理職支援
さらに、女性管理職が孤立しない環境づくりも欠かせません。女性管理職同士のネットワーク形成やメンタリング制度などを整備することで、管理職自身の不安やプレッシャーを軽減することにもつながります。
第三者の介入
加えて、当事者同士だけで問題を抱え込まない仕組みづくりも重要です。人事や他部署の管理職など第三者が状況を確認し、必要に応じてヒアリングやフォローを行うことで、職場の関係性を客観的に見直すことができます。場合によっては配置転換など環境面の調整を検討することも、社員が安心して働き続けるための一つの選択肢となるでしょう。

女性活躍を進めるために
女性管理職の登用は、多くの企業にとって重要なテーマです。しかし、人数を増やすだけでは、組織の課題が解決するとは限りません。
女性管理職が安心してリーダーシップを発揮できる環境を整えること、そして部下が安心して成長できる職場をつくること。この両方を実現してこそ、女性活躍の取り組みは本当の意味で機能します。
「女王蜂上司」という現象は、その難しさを示す一つの例といえるでしょう。企業が持続的に成長していくためにも、組織の構造やマネジメントのあり方を見直す視点が求められています。
おわりに
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