キャリアは冒険だ!従業員自らが主人公になれる、PPIH流タレントマネジメントシステムとは|株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

1989年のドン・キホーテ1号店出店以来、「顧客最優先主義」を徹底し、成長を遂げてきたパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス社(以下、PPIH)。

同社の人財戦略の一つとして、「社員一人ひとりが自らキャリアを描き、挑戦を楽しむ組織」への進化があります。与えられたレールをそのまま歩むのではなく、自分自身が主人公となって冒険するように、仲間と競争しながら前のめりに成長してほしい——。

そんな強い想いがある一方で、人事責任者の渡邊氏は「どうしたら従業員が自律的にキャリアを形成してくれるのか」という壁に直面していました。

PPIHの構想を基に、全体設計・システム開発をアクセンチュアと一緒に進め、タレントマネジメント領域をエンがサポートしました。この壮大なタレントマネジメントシステムの取り組みの全容に迫ります。

答えは現場にある。現場社員から聞いた「キャリアが見えない」という悩み

「私、次に何を目指せばよいのでしょうか」——。その声は、現場の第一線で活躍する社員から私たちに届いた、キャリアに対する不安の声でした。

PPIHでは、経営陣やマネジメント層が店舗に足を運び、現場の声に耳を傾ける文化があります。そこで聞こえてきたのが、現場で活躍している人財たちの「次のキャリアが見えない」という悩みでした。

PPIHは多種多様なキャリアパスがあり、実際に経営陣は誰一人同じキャリアパスではなく、自ら道を切り拓いてきました。その実力主義の文化は強さの源泉である一方、今の社員にとっては不安の種にもなっていました。

従業員の成長の停滞につながりかねないこの状況を、どう変えるか。

考えた末に出た結論は、社内の様々な職種や従業員の膨大な過去経歴を全て可視化して、それを冒険の書としてRPGゲームと見立てて、そのゲーム感覚を仕組みにできないかということでした。

この現場での気づきから生まれた発想が、『タレントビューアークエスト版(以下、タレクエ)』の誕生につながったのです。

キャリアを自分事化してもらう、
真の従業員向けタレントマネジメントシステムを実現

一般的なタレントマネジメントシステムは、本来は「従業員が将来やりたいことを入力し、キャリアを描くためのシステム」であるにも関わらず、現実には「評価のためのツール」として半期に一度しか使われません。この現実を打破するべく、私たちは従業員の成長に特化したタレントマネジメントシステムとして、本当に従業員が使いたくなるよう徹底的に追求しました。

特に工夫した点は、次の3つです。

1つ目は「職種と職種の“前後”の見える化」です。

あえて公式のキャリアパスを示すのではなく、過去の異動歴を集計し、職種の前後を事実として表現することで、社員自らがキャリアを考えるヒントを提供しました。これは、当社の文化である権限委譲に必須の、「最小限のルール」と「大幅な自由裁量権」を体現しています。

2つ目は「尊敬する上長や憧れの先輩の“背中”の見える化」です。

同意を得た従業員のキャリアを、誰でも検索して閲覧できるようにしました。実際に「検索」機能は最も使われており、例えば憧れの先輩従業員の経験を見て、自分の経験との差に気づくことを通じて、キャリアを自分事化する仕組みになっています。

そして3つ目が「同期との比較による自分の立ち位置の見える化」です。

PPIHでは「競育」という言葉があるほど、社内で競い合い成長していく文化があります。キャリアを一覧にしたマップ上で、同期がどのポジションに何人いるのかを一目瞭然にし、「同期には負けたくない」という、いい意味での競争心が生まれるようにしました。

なぜエンを選んだのか?人財戦略をともに実現するパートナーの共通点とは

このタレクエの構想は、アクセンチュア社とともに創り上げたものですが、実現するためのシステム基盤としてエン社の『Talent Viewer』を選定しました。

なぜこの2社だったのか。思い返すと、そこには共通の理由がありました。
ひとつは、私たちの構想に本気で耳を傾け、実現に向けて提案してくれたことです。
もうひとつは、各社が「自社で実践していること」も大きな理由でした。「こうやった方がいいですよ」と語るだけでなく、自らも組織変革やツールの活用を実践している企業と組みたかったのです。

それらの点で、アクセンチュア社もエン社も、私たちの求めるパートナー像にぴったりでした。

その上でTalent Viewerは、充実した基本機能に加えて、私たちのこだわりに合わせて柔軟にカスタマイズできる点も大きな魅力でした。

既存の基幹システムとのデータ連携や集計・加工の自由度の高さ、そしてそれを支えるサポート体制への安心感。これらが揃っていたのが、Talent Viewerだったのです。

目指すは「新たな挑戦を牽引するリーダー」の輩出。
タレクエで抜擢人事を加速させる

これからも自律的な挑戦をする人財を応援していきますが、今後はそれに加えて、若手の積極的な抜擢に注力していきます。ただし、社員が10,000人を超える中で、原石を見つけ出すことが難しくなっているのも事実です。

そこで、タレクエに抜擢機能を実装します。役員やマネジメント層が現場に臨店した際、「この人財は有能だ」と感じた社員にフラグを立て、なぜそう思ったかを具体的に入力する。システマティックな情報だけでなく、人が人を選ぶアナログな情報も蓄積し、攻めと挑戦の文化をさらに加速させていきたいと考えています。

最後に、人事の皆さんへのメッセージ

皆様にお伝えしたいのは、「課題は、必ず現場にある」ということです。そこに足を運び、社員やアルバイト一人ひとりの声に真摯に耳を傾けることが何より大切だと感じています。

人事責任者としては、従業員の視点に立つことと経営視点に立つことを、何往復もして考えることが本当に価値のある施策につながるのだと私は信じています。

「課題は現場にある」——。

現場の声から生まれ、冒険のようにキャリアを切り拓く仕組み『タレントビューアークエスト版』。そこには、社員の自律性を信じるPPIHの哲学が息づいていました。

タレントマネジメントシステムは、管理や効率化のためだけにあるのではない。社員一人ひとりの心に火をつけ、挑戦を後押しする“舞台”をどうつくるか。 タレクエは、その問いへの一つの答えを示しているように感じます。

この冒険の舞台から、どのような次世代リーダーが生まれてくるのか。PPIHの新たな挑戦に、今後も目が離せません。

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