EVPとは?──いい人事の日(11/22)に考える、自社の“魅力再定義”と採用・定着の強化

11月22日は「いい(11)人(2)事(2)」の日です。
日々、採用・育成・定着の最前線で奮闘する人事のみなさま、本当にお疲れさまです。

「優秀な人材から選ばれる会社でありたい」「社員には、やりがいを持って長く働いてほしい」といった想いは、多くの企業で普遍的なテーマです。しかし近年、働く人々の価値観は大きく変化しています。給与や福利厚生といった条件面だけでなく、“自分らしく働けるか”“企業の理念に共感できるか”といった価値観の一致が、入社や定着の決め手になるケースが増えています。

こうした変化のなかで改めて注目されているのが、EVP(Employee Value Proposition)──企業が従業員に約束する価値の明文化です。

本記事では、EVPの基本から自社の魅力を可視化し、具体的なアクションに繋げる実践的な方法までをご紹介します。

EVPとは?──定義とメリット

EVP(Employee Value Proposition)は、企業が従業員へ提供できる“価値”の総体を指します。

金銭的な報酬だけでなく、仕事のやりがい、成長機会、良好な人間関係、働きやすい環境、独自の企業文化といった従業員が得られる価値の全体を包含します。長期的には、採用力・定着率の向上といった指標への貢献も期待できます。

EVPを考えるヒントになる「エン動機づけ理論」

EVPを考える際には、従業員が「何に価値を感じ、何に動機づけられるか」という観点が欠かせません。エンでは、ハーズバーグの動機づけ理論とマズローの欲求段階説をもとに、日本企業の実態に即した形で再構成したエン動機づけ理論を提唱しています。

EVPを考える上でも、これらの要因を手がかりに自社の(価値)や課題を整理することができます。

衛生要因:給与・賞与・休日休暇・福利厚生・労働環境など。不足すれば不満の原因となりますが、満たされても「やる気を引き出す」要因には直結しにくい性質があります。

動機づけ要因「人間関係」「承認・称賛」「達成」「成長」「責任」「貢献」で構成されます。これらは満たされるとやる気を高め、長期的なエンゲージメントにつながります。

EVPを考える際は、衛生要因と動機づけ要因の両面から「どこが強みで、どこに伸びしろがあるのか」を捉える視点が役立ちます。

自社の魅力を見える化しよう|人事のためのEVPチェックリスト

EVPは、従業員が感じる“自社で働く価値”を見える化する考え方です。ここでは、人事として自社がどれだけその価値を設計・提供できているかを確認するためのチェックリストを用意しました。

制度や仕組みが「あるかどうか」ではなく、「現場で機能しているか」を意識して点検してみてください。

基盤を整える:衛生要因(制度・環境)

観点チェック項目Yes/No
報酬自社の給与水準は市場・業界と比較して競争力があると把握している
評価成果や行動が評価に正しく反映されるよう、上司向け研修やガイドを実施している
働く環境オフィス環境・リモート制度について、従業員満足度を定期的に測定している
労働時間部署ごとの残業時間・有給取得率を把握し、改善PDCAを回している

やる気を高める:動機づけ要因(文化・風土)

観点チェック項目Yes/No
人間関係1on1やピアボーナスなど、心理的安全性を高める仕組みを整備している
承認・称賛日常的な称賛が起こるような文化づくりの仕掛けを行なっている
達成OKR・目標設定の質を高めるため、目標レビューや研修を定期開催している
成長成長支援(研修・キャリア面談・異動希望など)が制度として機能している
責任若手や中堅にも主体的な挑戦機会を与える仕組みが存在する
貢献自社の社会的意義や顧客への価値を実感できるストーリーテリングを行なっている

結果を次につなげる──EVP改善アクションの考え方

チェック結果は、自社が従業員に提供できている価値と、今後強化できるポイントを知る手がかりになります。結果のパターン別に、次のアクションに繋げるための施策例をご紹介します。

衛生要因に「No」が多い場合

スモールステップの施策例

労働時間の実態把握と改善 … 勤怠データの分析、負荷の偏りチェック、ノー残業デーの推奨など
有給休暇取得状況の確認 … 取得率が低い部署は管理職へヒアリングを実施、取得奨励を促進など
職場環境の小さな改善 … オフィス整理、備品充足、コミュニケーションを促すスペースの整備など

本格的な施策例

競合他社・業界の給与水準調査 … 市場データに基づく報酬の競争力評価
評価・報酬制度の見直し … 透明性を高め、頑張りが正当に報われる仕組みへ
福利厚生・職場環境の再設計 … 従業員の声を反映した制度設計

動機づけ要因に「No」が多い場合

要因別の施策例

要因施策
人間関係部署横断の交流機会、1on1の質向上、メンター制度など
承認・称賛全社イベントでの称賛パート導入、相互称賛ツールの活用など
達成OKR等の目標設定フレームの導入、目標進捗の共有文化、成果とプロセスを称える機会など
成長キャリア対話の定期化、学習支援制度の拡充、社内勉強会の実施、フィードバック研修など
責任若手への議事進行、判断の一部委任、新規提案制度の創設、抜擢人事の検討など
貢献顧客の声の共有、パーパス・ビジョンの再浸透、社会貢献活動の企画など

まとめ

本記事では、企業の採用力と定着率を高める鍵となる「EVP」について解説しました。

「いい人事の日」である今日、ぜひこのチェックリストをきっかけに、自社が候補者や従業員を惹きつける強みや、伸びしろを振り返ってみてはいかがでしょうか。

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